この公演は、旧暦3月21日に壇場伽藍・御影堂にて執り行われます「御影供」にスポットを当てました。
様々な宗派を開いた祖師達は、弟子達によって崇拝の対象とされ、その姿は絵画や彫刻によって後世へ残されました。一般的にそれらを御影と言い、宗派によって相違があり、「ごえい」「みえい」「みえ」等と読まれます。高野山では弘法大師・空海の姿を写した肖像画を「みえ」と称し、壇信徒の信仰の対象として親しまれています。このお姿を本尊とし、日頃の報恩の誠をささげる儀式を御影供と言います。現在の高野山では、次のような種類の「御影供」が存在します。
以上の様な形式のが有る中、本公演では、旧暦3月21日に伽藍で執行されます「御影堂旧正御影供」を再現しました。儀式の特徴は、途中で読経や真言の読誦することなく、聲明曲ばかりで構成されている点です。この法会(儀式)は『御影供法則』と呼ばれる次第にそって進められますが、梵讃や漢讃、語り物の聲明、祭文、秘讃(秘曲)など、聲明を知る上で重要な曲がたくさん用いられており、それらの曲が一度の公演で鑑賞できるという贅沢な内容となっています。また、「三十七遍合殺」という曲は、山上にては「高野節」と呼ばれる略節が用いられる事が多いのですが、この度は出来るだけ博士通りにお唱えしました。その点については、山上でも聞く事の出来ない、非常に貴重な機会であったと言えましょう。
2009年12月12日 金沢 北国新聞赤羽ホール
2010年 2月11日 大阪 いずみホール
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