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 高野山ではお互いが問答を繰り広げる場のことを「論議」と称しています。論議とは、難解な大乗仏教の教理や実践の理論的理解について、「問答」という対話形式を用いて深めてゆくことを目的として始められました。その形式は、仏教を学ぶ僧侶達が教学の研鑽を深めるため、互いに問い答えあうという小規模なものから、阿闍梨という大学でいわば教授にあたる僧侶が、受験者にあたる僧侶へ質問をするという、一種の試験に相当する大規模なものなど、多種多様です。しかしながら、時代と共に本来の意義が失われ、自己の研鑽から儀礼としての性格へ変化していきます。儀礼化が進むようになると、法要(唄や散華などの聲明曲)といった音楽的要素が加わり、甚だ壮大な儀式となっていきました。

 この論議は、中世の諸芸能へ影響を与えるようになりました。例えば、仏教的な物の考え方や話の筋を演劇的に展開し、やがては能楽へと発展し、観阿弥、世阿弥という天才の出現によって、音楽と演劇の優美な融合を果たした「能」などです。このように、仏教音楽から直接影響を受けた芸能は、意外に沢山存在するのです。

 任意団体から、特定非営利活動法人SAMGHAとなり、真言聲明の会を立ち上げた際の旗揚げ公演として企画されたこの公演は、第一部には、「高野山の住職がこの儀式をこなさなければ、上綱職や学頭職に供昇できない」などの様々な制約が生じる事となる、ある意味で高野山における学道の登竜門ともなっている竪精本講、第二部には、神前にて問答を執り行う事の功徳を所願成就へと廻向する謂立論議(2011年公演では御最勝講)を再現しました。ともに内容は難しいのですが、両者とも様々な典拠や比喩表現を用いながら、独特の調べにのせて、互いに論戦を進めていく所が醍醐味といえましょう。

 基本的に非公開行事であり、目に触れる事の少ない儀式ですので、「この様な儀式も続いているのだな」とお見知りいただければ幸いです。

金沢 北國新聞赤羽ホール

御論議4 御論議5 御論議6
御論議7 御論議8 御論議9
御論議10 御論議11 御論議12

大阪 いずみホール

御論議1 御論議2 御論議3
高野山の聲明 -御論議-

2011年12月10日 金沢 北國新聞赤羽ホール
2005年12月 8日 大阪 いずみホール
2006年 2月12日 島根 島根県民会館
2006年 2月24日 東京 紀尾井ホール


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