去る10月14日、横浜市西区のドックヤードガーデンで開催された「横浜あかりアーツコラボレーション2006『悠久の聲』―高野山・比叡山の聲明―」(横浜あかりアーツコラボレーション実行委員会、財団法人横浜市芸術文化振興財団主催)に出演いたしました。
このイベントは、横浜ならではの文化風土を生かしながら「芸術」と「あかり」とのコラボレーションによる新たな芸術創造を目指すというものです。第一回の今年は、横浜を代表する景観のひとつである旧ドック(国指定重要文化財)を舞台に、真言聲明(真言聲明の会)と天台聲明(比叡山延暦寺)による「芸術」と、世界的な照明デザイナーである石井幹子氏の照明パフォーマンスによる「あかり」とのコラボレーションが実現。ドックの背後にそびえるランドマークタワーの壁面に巨大な曼荼羅が投射されるなか、きらびやかな法衣に身を包んだ真言・天台両山の聲明が聴衆を魅了しました。約1時間の公演用に構成された真言聲明の会の曲目は、庭讃、総礼伽陀、前讃(不動梵語)、唱礼、後讃(四智漢語)、称名礼、対揚でした。このなか、入場直後にドックの底部から突如湧き上がる庭讃は聴衆の耳に特に強く残ったことでしょう。
さて、石井幹子氏の照明デザインと、野外初となる真言・天台両聲明の共演とが話題を呼んだ本公演は、テレビ等のメディアに広く紹介され、聲明の普及に大いにプラスになったことは言うまでもありません。他方、この公演は同時に、野外の難しさを再認識させられるイベントでもありました。声は空気によって流されるという原理を改めて認識したこと、予想以上に強い海風と格闘したこの経験は、我々自身にとっても大いにプラスになりました。
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