去る2月17日、SAMGHAとしては大阪で二回目となる聲明公演を、いつもご協力頂いておりますいずみホールにて、開催をいたしました。前回の大阪公演のときよりも大勢の方々にご来場を頂き、誠にありがとうございました。
高野山の様々な儀式に用いられる聲明を舞台に再現しながら、皆様に聲明を身近に聞いていただこうと企画した「高野山の聲明―法会具現絵巻―」も、今回で四回目を迎えることとなりました。これも、関係者ならびに皆様の多大なるご声援、ご協力があってのことと篤く御礼を申し上げます。第四回となる本公演では、「理趣三昧」という真言宗で最も盛んに執り行われている儀式にスポットを当てることにいたしました。
公演用に約二時間で構成された曲目は、庭讃、反音、云何唄、散華、対揚、唱礼、前讃(四智梵語)、理趣経(中曲)、後讃(仏讃)、廻向。今回の公演では、特別に一人一人が色、柄、模様の違う法衣を身に着け、きらびやかでバラエティーに富んだ法衣を、聴衆の皆さまに楽しんで頂きました。また、舞台の正面には金剛界・胎蔵界の両曼荼羅を掲げ、さらに今回は密教を日本まで伝えた8人の祖師像を左右に掛けて、ホール全体を荘厳いたしました。
開始の梵鐘が鳴り、舞台上が暗転し、観客の視線が舞台に注がれる中、ホール後方から入堂します。場内がざわめく中、通路での庭讃は聴衆を驚かせたことでしょう。云何唄の重厚な響きで場内の緊張感が高まった後、散華では、行道をすることにより静から動への動きの流れを見ていただきました。客席には大量の散華が舞い、まるで桜の花びらが舞っているかのような演出は視覚的にも大変印象的だったことでしょう。対揚、唱礼、前讃と続き、いよいよ理趣経(中曲)へと進んでいきます。
理趣経は先述の通り、法会の最も中心となる存在であり、御導師様をはじめ、職衆、聴衆、すべての生けるものを理趣経の世界へといざないます。特に理趣経に節を付けて唱える「中曲」読みと行道は、興味を惹かれたことと思います。さらには後半で最高潮を奏でる「善哉」、「合殺(毘盧遮那仏)」の美しい聲明の響きは、心の奥底から込み上げてくる、そして心を打つ“何か”を感じて頂けたのではないでしょうか。後讃、廻向で法会は終わり、退堂のときの聴衆の皆さまからの大きな拍手は、我々に今後への自信と勇気を与えてくださいました。
今回の公演はSAMGHAにとって、まさに節目の公演となりました。地元大阪での二回目の公演であり、また昨年10月の横浜公演では、自分たち自身の中で仕上がりに納得がいかなかった点もあり、今回は一人一人が背水の陣で挑みました。結果、良い意味でふっ切れた、今後に繋がる良い公演ができたのではないかと思います。勿論これに甘んじることなく、益々日々精進して、今後も皆さまの期待に応えられる、皆さまに感動を与えられる南山進流聲明をお届けしてゆければ幸いです。最後に、公演にご協力をいただいた関係者各位に改めて御礼を申し上げます。皆様方と再びお会い出来ます事を心より楽しみにしております。
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